Japanische Klassiker mit Furigana
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しなまいのふくろ
支那米の袋
夢野 久作
Lesen Sie 支那米の袋 (しなまいのふくろ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.357 Zeichen · 50 Bildschirme
その声を聞くと妾は又夢中になってしまって、身体中にありたけの力を出しながら、床の上を転がり始めたの。そうして出来るだけ電燈の光りの見えない方へ盲目探りに転がって行って、何かの陰を探して隠れよう隠れようとしていたの。そうすると今度は男たちの靴の音が離れ離れになって、一人か二人宛あとになったり先になったりしながら――次から次に担ぎ上げて行くうちに、とうとう、室の中の叫び声が一ツも聞こえなくなってしまったのよ。ただ軍艦の動く響きと、微かな波の音ばっかり……人間の居るらしい音は全く無くなってしまってね……。
その時に妾はやっと、すこしばかり溜息をして気を落ちつけたようよ。妾の袋はキット何かの陰になって、見えなくなっているのに違いないと思い思い、顔中にまつわっている髪の毛を掻き除けながら、なおも、ジッと耳を澄ましていたようよ。
そうすると、それから暫く経って、もうみんなどこかへ行って終ったと思う頃、今度はたった一人の、重たい、釘だらけの靴の音が……ゴトーン、ゴトーンと階段を降りて来たの。そうして室のまん中に立ち止まって、そこいらをジーイと見まわしながら突立っているようなの。