Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろう
放浪
織田 作之助
Lesen Sie 放浪 (ほうろう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.399 Zeichen · 47 Bildschirme
妓の部屋で、盆踊りの歌をうたうと、良え声やワ、もう一ぺん歌いなはれナ。賞められて一層声を張りあげると、あちこちの部屋で、客や妓が笑った。ねえ、ちょっと、わてお寿司食べたいワ、何ぞ食べへん? 食べましょうよ。擦り寄られ、よっしゃ。二人前とり寄せて、十一円十六銭。食べている内に、お時間でっせといいに来た。帰ったら嫌やし、もっと居てえナ。わざと鼻声で、いわれると、よう起きなかった。生れてはじめて親切にされるという喜びに骨までうずいた。又、線香つけて、最後の十円札の姿も消えた。妓はしかしいぎたなく眠るのだった。おいと声を掛けて起す元気もない。ふと金造の顔が浮び、おびえた。帰ることになり、階段を降りて来ると、大きな鏡に、妓と並んだ姿がうつった。ひねしなびて四尺七寸の小さな体が、一層縮る想いがした。送り出されてもう外は夜であった。廓の中が真昼のように明るく、柳が風に揺れていた。大門通を、ひょこひょこ歩いた。五十銭で書生下駄を買った。鼻緒がきつくて足が痛んだが、それでもカラカラと音は良かった。一遍被ってみたいと思っていた鳥打帽子を買った。一円六十銭。おでこが隠れて、新しい布の匂がプンプンした。