Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろう
放浪
織田 作之助
Lesen Sie 放浪 (ほうろう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.399 Zeichen · 47 Bildschirme
表へ出ると、丁度使いから帰って来た滅法背の高いそこの小僧に、何んぞ用だっかと問われ、いきなり風呂銭にもっていた一銭銅貨を投げ出し、ものも云わずに蜜柑を一つ掴んで逃げ出した。ところが、それは一個三銭の蜜柑で、その時のせわしない容子がおかしいと、ちょくちょく丸亀の料理場へ果物を届けに来るその小僧があとで板場(料理人のこと)や女中に笑いながら話し、それが叔父叔母の耳にはいった。お前、えらいぼろい事したいうやないか。叔母にその事をいわれると、順平はぺたりと畳に手をついて、もう二度と致しまへん。うなだれて眼に涙さえ泛べるのだった。ひやかす積りであった叔母はあっ気にとられ、そんな順平が血のつながるだけにいっそいじらしく、また不気味でもあったので、何してねんや、えらいかしこまって。そう云って、大袈裟に笑い声を立てた。叱られているのではなかったのかと、ほっとすると順平は媚びた笑いを黄色い顔に一杯うかべて、果物屋のお爺がぼんぼんは何処さんの子供衆や、学校何年やときいたなどとにわかに饒舌になった。が、果物屋のお爺というのは唖であり、間もなく息をひきとった。
尋常五年になった。