Japanische Klassiker mit Furigana
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せいだんじゅうにそう
政談十二社
泉 鏡花
Lesen Sie 政談十二社 (せいだんじゅうにそう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.626 Zeichen · 48 Bildschirme
判事は右手のさきで、左の腕を洋服の袖の上からしっかとおさえて、屹とお幾の顔を見た。
「どう思召して下さいます、私は口が利けません、いいわけをするのさえ残念で堪りませんから碌に返事もしないでおりますと、灯をつけるとって、植吉の女房はあたふた帰ってしまいました。何も悪気のある人ではなし、私とお米との仲を知ってるわけもないのでございますから、驚かして慰むにも当りません、お米は何にも知らないにしましても、いっただけのことはその日ありましたに違いないのでございますもの。
私は寝られはいたしません。
帰命頂来! お米が盗んだとしますれば、私はその五百円が紛失したといいまする日に、耳を揃えて頂かされたのでございます。
どんな顔をされまいものでもないと、口惜さは口惜し、憎らしさは憎らし、もうもう掴みついて引ってやりたいような沢井の家の人の顔を見て、お米に逢いたいと申して出ました。」
十六
「それも、行こうか行くまいかと、気を揉んで揉抜いた揚句、どうも堪らなくなりまして思切って伺いましたので。
心からでございましょう、誰の挨拶もけんもほろろに聞えましたけれども、それはもうお米に疑がかかったなんぞとは、にも出しませんで、逢って帰れ! と部屋へ通されましてございます。