Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶんだんむかしばなし
文壇昔ばなし
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 文壇昔ばなし (ぶんだんむかしばなし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.802 Zeichen · 20 Bildschirme
この人は心の底から紅葉を崇拝していた。紅葉の死後も毎朝顔を洗って飯を食う前に、必ず旧師の写真の前に跪いて礼拝することを怠らなかった。つまり「婦系図」の中に出て来る真砂町の先生、あのモデルが紅葉山人なのである。或る時秋声老人が「紅葉なんてそんなに偉い作家ではない」というと、座にあった鏡花が憤然として秋声を擲りつけたという話を、その場に居合わせた元の改造社長山本実彦から聞いたことがあるが、なるほど鏡花ならそのくらいなことはしかねない。私なんかももし紅葉の門下だったら、必ず鏡花から一本食わされていたであろう。鏡花と私では年齢の差異もあるけれども、ああいう昔気質の作家はもう二度と出て来ることはあるまい。明治時代には「紅露」といわれて、紅葉と露伴とが二大作家として拮抗していたが、師匠思いの鏡花は、そんな関係から露伴には妙な敵意を感じていたらしい。いつぞや私が露伴の話を持ち出すと、「あの豪傑ぶった男」とか何とか、言葉は忘れたがそんな意味の語を洩らしていたので、鏡花の師匠びいきもここに至っていたのか、と思ったことがあった。
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紅葉の死んだ明治三十六年には、春に五代目菊五郎が死に、秋に九代目団十郎が死んでいる。