Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶんがくのどんてん
文学の曇天
豊島 与志雄
Lesen Sie 文学の曇天 (ぶんがくのどんてん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.837 Zeichen · 10 Bildschirme
かかる熱量の移植は、文学職工としての技術から来るのではなくて、直接にその「人」から来る。この間の秘密を、アンドレ・ジィドは他事に託して云っている。――
文学に於いて、自己を怖れるとは、何というばかげたことであろう。自己を語ること、自己に関心を持つこと、自己を示すことを、怖れるとは。(フローベルの苦難の行の必要は、彼に、この偽れる悲むべき効果を考え出させたのである。)
パスカルは、モンテーニュに、己を語ると云って叱責した。そしてそれを滑稽な痒がりだとした。しかし、彼自ら、自分の意に反して、そういうことをした時ほど、彼が偉大であったことはない。彼がこう書くとする。「キリストは人のために自分の血を流した。」と。その彼の言葉は、何等の効果をも持たずして落ちる。だが、「私は」という言葉がはいって来るや否や、すべては生きてくる。そしてこの神が彼の許に来るならば、彼を君僕で呼ぶだろう。「僕は、君のために、こんなに血を流した。」と。この特別の血を、君のために、ブレーズ・パスカルよ……。そうすれば、我々の誰でもが、この讃うべき君僕の言葉使いに、己が理解されていることを感ずるのである。