Japanische Klassiker mit Furigana
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こどものれい
文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
岡崎 雪声
Lesen Sie 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会 (こどものれい) von 岡崎 雪声 (おかざきせっせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.090 Zeichen · 7 Bildschirme
しかし何しろ秋の夜の空は拭った様に晴れ渡って、月は天心に皎々と冴えているので、四隣はまるで昼間のように明るい。人の心というものは奇妙で、月を見たり花を見たりすると一種の考が起るものだから、自分も今宵露に湿った地に映る我影を見ながら、黙って歩いて来ると偶然故郷のことなどが、頭脳に浮んだ、漸々自分の行末までが気にかかり、こうして東京に出て来たものの、何日我が望が成就して国へ芽出度帰れるかなどと、つまらなく悲観に陥って、月を仰ぎながら、片門前の通を通って、漸く将監橋の袂まで来た。その頃其処にあった蕎麦屋の暖簾越しに、時計を見ると、まだ十時五分前なので、此処から三分もかかれば家へ帰れるのだから、確に平時もの通り十時前には帰れると安心して、橋を渡って行った。その時にはまだ私も気が附いていたのだが、さて将監橋を渡り切る頃には、如何したものか、それから先きは、未だに考えてみても解らない。何しろ十時から十一時、十二時という、二時間の間というものは、何処を何して歩いたものか、それともじっと一と所に立止っていたものか、道にしたら僅かに三四町のところだが、そこを徘徊していたものらしい。