Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばけものやしき

文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会

柳川 春葉

Lesen Sie 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会 (ばけものやしき) von 柳川 春葉 (やながわしゅんよう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.305 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

一つ枕

これは友人の談だ、ある年の春の末、もう青葉の頃だったが、その男は一夜友人に誘われて吉原のさる青楼へ上った、前夜は流連をして、その日も朝から酒を飲んでいたが、如何にも面白くない、友人に断って自分だけは帰ろうとしたが、友人が無理に引止めるので、仕方なしに、その宵はまだ早かったが、三階の一番隅の部屋で、一人寝ていると、外もそろそろ賑になって来たようだが、自分の部屋の近所ではヒッソリと静かで、時々下の方で重い草履の音が、パタリパタリと寝むそうに聞え、窓越の裏の田甫からは蛙の鳴く声が聞えてくるばかりなので、つい、うとうととすると、不図自分の部屋の障子がスーと開いて、廊下から遊女が一人入って来た、見ると自分の敵娼でもなく、またこの楼の者でも、ついぞ見た事のない女なのだ。自分の枕許にピタリと座りながら、「もしもし」と揺起そうとするけれど、男は寝ながら黙って、ただ手で違う違うと示しながら、やや暫しその押問答をやっていたが、その間の息苦しいといったら、一方ではない、如何いうわけか跳起る気力も出ないで、違う違うと、ただ手を振りながら寝ていたが、やがてまた廊下に草履の音が聞えてガラリと障子が開くと、此度は自分の敵娼の顔が出た、するとその拍子に、以前の女は男の寝ている