Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
」
と言いかけて、かれは藍色した切符を一枚取り出した。
「これをあなたに買っていただきたいと思いましてお願いしたんです。わたしはまだ何も食わないんです。けさから……。」
かれは、その男のよれよれになった単衣と古下駄と、この都会を絶えず彷徨しているもののみに見る浅黒い皮膚とを目にいれた。けれどもかれはまだ黙って、睡眠不足らしいかれの目をみつめた。
かれは内懐中から一枚の銀貨をつまみ出すと、やはり低い声で、
「お困りでしょうに――これだけあるから使って下さい。」
そう言って、男の手のひらに銀貨をのせたのである。男は幾度も礼を言ってしつこく切符をかれにわたそうとした。
「それは要りませんよ。そんな心配はしないで下さい。」と言いながら、かれはくるりと踵を見せてあるき出した。
かれは、かれの背後で浅猿しくも幾度となく挨拶をいう男の声をききながら、忌わしさのために、自分自身のしたことについて或る不愉快な憎しみを抱きながら歩いていた。何処から何処となく、町角に出るかと思うと、とある飲食店の内部に、さむざむとかれは夕食をしたためていたりしていた。
かれは其処でさまざまな人人を見た。