Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
「では最う街で唄い出すのかね。あれでは物にならないだろうが。」というと、
「まだ恥かしがっているんですが、なあに二週間も経てばすぐですよ。それも一度街で唄えばもうしめたものです。どこまでも厚面しくならなければなりませんからね。巡査がやかましく追っ払いますからね。考えて見ると厭な商売ですよ。」
歳太郎はすっかり刷り物を揃えてしまうと、懐中瓦斯とサイダアの瓶に湯ざましを詰めこんで、小さな風呂敷包みのなかに入れた。
「サイダアの瓶はどうするかね。」と問うと、
「唄っているうちは喉が渇くでしょう。それで用意して行くんです。」
歳太郎は、はははと寂しく笑った。他の連中も練習が済むと、みな刷り物と懐中瓦斯とを一と包みにした。さきの少年はむんずりと立つと、自分の分と、連れられてゆく歳太郎の分とを土間の板の上にならべ、みんなの下駄をそろえた。
そのとき日は室内にも外にも陰って、うそ寒げな夕方の空気があたりを這いはじめていた。ヴァイオリン弾きは木綿の袋に楽器を入れると、それを抱えて、さっきの口争いをもけろりと忘れたようにして、
「さあ出掛けよう、君はゆっくりしていらしって下さい。