Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
」と言いながら「なにを愚図愚図しているんだ。出かけよう。」と、さっきの男に言った。さきの男は青いボール箱から両切を出すと火をつけて、かれに挨拶がわりに何か言いながら、二人とも素足のまま古下駄をひッかけて出て行った。二人とも同じい背丈で、どこか似たような寒げな埃ばんだ背後姿をしていた。
「君もそろそろ出かけるんだろう。」というと、
「そろそろ出かけなければ……」と言って立ちあがった。少年はヴァイオリンと刷り物を抱えて、まだ何処か可愛げなさつま絣の紺の褪せない筒袖をきていた。そとへ出ると、かれは歳太郎と少年とに別れた。
十二階から吉原への、ちょうど活動館のうしろの通りの、共同便所にならんで、いつも一台の自動車が憩んでいた。晩の十二時ごろからどうかすると明方の一二時ごろまで、いつも決ったように休んでいる自動車はめったに動いたことがなかった。何時の間にやって来て、いつ動き出すか分らないが、きまったように窓窓にカーテンをおろしながら、街燈と街燈との間の暗みに、にぶい玻璃窓を光らしながら置かれてあった。
それに又、ふしぎなことには、ただの一度も運転手の姿を見たことがなかった。