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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

それから幾晩かのあとに、かれは、塔のふもとの空地で彼のまずしい街頭音楽者らがヴァイオリンを弾きながら唄っているのを聞いた。かれは人込みのなかに佇んで、永い間歳太郎の顔をながめたのであった。なぜ歳太郎がこんな寂しい土地を選んだかというより、その日、かれはかれ自身が音楽者のむれに身を投じようかとさえ思うくらい、消極的の無為な或る淋しい観念にとらえられていたのであった。人人が散りはじめたときに、かれは歳太郎の肩を叩いた。歳太郎は驚いて、そして、

「先刻から君はきいていたんですか。僕のうたってたのを――。」と言って、顔をあからめた。

「いや別に聞いたわけでもないが、もう止めるのかね。」というと、歳太郎は瓦斯を消して、れいの少年に風呂敷に包ませると、暗いところを選んで跼んだ。

「こんな晩はいけないんですよ。なんだか陰気でね。一人寄ったかと思うと、二人行ったり、しまいには、ばらばらに四五人も固まって散ってしまうと、てんで唄う気がしないもんですよ。妙に神経的なものでしてね。そういう晩は初めから――そう、宿を出てくるときから解るような気がするんですよ。」

歳太郎はそういうと、爺むさい顔をなお陰気にくもらせた。