Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
それは薄手な白い菌のようなかたちをしていて、ときどきぴりぴりと震えるように動いた。「人間の耳のうごくのというものは何て変なあやしい気をおこさせるものだろう、あれの耳の動くのを今日はじめて知ったのだ。これまで自分の知らなかったときにも動いていたのだ。」男はそうおもいながら尋ねた。
「眼を閉って考えあてるのか。それとも眼をあけて考えるのか。」
男は自分の質問の変なことを心でそれとかんじながらいうと、
「どちらでもないの……。」
「どちらでもないのか……。」
男はそう答えて黙ってひきかえそうとした。女はそのとき又床のなかへからだを入れようとした。わき腹のほねが規則正しく波をうって、むしろざらざらした感じで目に映ったので、男はこりこりなあばらの骨を手で撫でたような悪寒をかんじた。
「そこを閉めていってください。」
女はそういうとぬっと、生白い首を布団から辷り出した。男はわけなくぞっとして障子を閉めた。閉めたあとまでさきの姿が目にのこっていて離れなかった。
男はそとへ出ていても、すぐ女の青白い顔がうつり出してきて落ちつかなかった。電車に乗っていてもふいと乗り合せの女のかおを目にいれると、ふしぎに家にいる女のかおが掠めてしまうのである。