Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
「ふむ――。」と帯のあいだをさぐって、辷り出した時計を出して眺めた。小さな音をきざんでいたので、ほっとしたように女は明るくなって、
「まあ嬉しい。あなたのも止っていたらあたしどうしようかと思っていたの。あたし妙に神経質で、かつぎ屋なの。」
男はふいと欄間のところをみると、そこに小さな襖戸が開けられてあって、何か影のようなものをちらと見たような気がしてしかたがなかった。特に何者であるということが判然しないが、変な気がしてあたりをぐるぐる見廻した。なまこ色の壁と、障子と、床の間の小さな香爐とが目にはいった。
「変だわね。あなたは……さっきから話の腰ばかり折って落ちつかないのね。」
女はあちこち見廻す男の目を追ってこう言うと、
「そうかな。何んだか落ちつかないんだ。変に静かなせいもある。」
男はそういうと、女はすぐ、
「どんなお客でもみんな考え込んで、へんに沈み込んでいるのね。しょっちゅう何か心のうちで捜っているようなところがあるわ。何を考えているんでしょう。」
「家のあるものは家のことを考えているんだろう。」男は横になった長いものや、障子と壁の方にむいた蒼白い顔を目にふいと入れると、もしかすると今夜あたりわるくなっていはしないか。