Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
たいへん晩うございましたのね。」
女はこれだけ言って、いつもより親しそうな微笑をうかべた。「何事もなかったのだ。もしかすると非常な不吉なことが、起っていはしないかと思っていたのだ。」男は安心したような顔で、
「うむ。すこし手間のとれることがあって晩くなった。変化りがなくて何よりいい塩梅だ。」
真面目に落ちついてこう言うと、女はくっすりと微笑って、すぐ元のまじめな顔になり澄ました。へんな奴だ。ああいう微笑いがおをこのごろになって時時するのだ。そんなときおれの方で何時も何か言いあてられたような気がするのだ。男は黙って自分の室へもどろうとすると、女は、
「あの……すこし……。」
と言い吃って、男の左の袂をじろりと眺めた。男は機械的に左の袂に手をやると、何か堅い陶器のような物がはいっているのに気がついた。「まさか酔っていても彼麼ものを入れて帰る筈がない。筈がないが……併し別に外の物が這入っている筈もないのだ。」そう男が思いついたとき、突然、ほとんど唐突に思いついたのが香爐の蓋であった。まさかあんなものを……と思ったが、顔はすぐ熱く火のように赤らんで了った。
「見せてくださいましな。