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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

一つのしゃりこうべの穴のところに、毎年のように紫色をした威勢のいい凜とした菫の花が咲いた。――別のしゃりこうべはその花の色の美しいのに見とれながらいたが、あるとき珍らしく声をかけた。

「その花をくださいな。」

その時しゃりこうべは吃驚りして、あいつはいつも電燈の下に座っていた奴だなと思った。――あいつはこんなところへまで出て来ておれに又たせがむんだなと思った。

「こんな花をお前は何にするつもりか――。」

が、も一つのしゃりこうべは何も知らないように言った。

「その花はたいそう美しくて可哀いいんですもの。」

「ふう! お前にはまだ花なんかのことを気にしているのかい。」

かれがそう言ったとき始めて、別のしゃりこうべは気がついて、嬉しそうにこんどは遠慮もなく菫をへし折って了った。

「それを折ってはいけない――。」

そういう声はきこえなかったらしい――。

「あなたのならかまわない。」

しゃりこうべはこういうと、あるたけの菫をむしり取ってしまった。別のしゃりこうべはがっかりしたはずみに、大方、この間からのひでりつづきの故だったのだろう――その白いしゃりこうべをあとかたもなく、ぼろぼろに崩れ落してしまった。