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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

その岸へついたとき童子は立ちどまって不意にうしろを向いた。笏は自分の姿を見られまいとしてからだを縮まらせたが、その姿はすぐ童子の瞳の中に映った。笏は、何ごとかを言おうとしたが、童子はものをも言わずに踞み込んだが、すぐ一抹の水煙を立てると、その水田の中へ飛び込んだ。笏はすぐ馳けつけたが、いたずらに澄みかがやいた水田には、その波紋の拡がってゆくばかりを見るだけで、童子の姿はなかった。

笏は、此処がいったい何処であるかということを考えるより、自分がどうしてこの水田へきたかということを考えると、自分の歩いて来た道程があまりに近かったし、そしてそういう近いところにこんなにまで広い水田があろう筈がないように思われた。笏はうしろ向きになり歩いているうち、いつの間にか、病院の前の町へ出ているのに驚いた。そうすると直ぐ鉄橋の下の水田へ、自分が今行って居るのだということが、判然と頭にうかんで来たのだった。

笏は、わが家の前に立ち、そうしてわが家に不吉なことでもありはしなかったかと、内部をさし覗いてみたが、かわりのない静かさが輝く電燈と一しょにあるきりだった。そして妻は青い一本の草のようなもののさきに、火を烟らせていた。