Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
笏は目を凝らしてながめていた。
女は、立ってれいの光る小さい堂宇の前へ行った。そして細い一本の草のような烟るものに火を点けた。かれらは、かれらの生んだものを慕うそれにふさわしい、小さいお鉦鼓を叩いた。
笏は、玄関へ出た。そして植込みをながめ、表へ出た。そして往来の遠くまで眺めわたしたが、何の姿もあろう筈がなかった。晩のことで、豆ずれをさせながら、すたすたと犬が濡れたように走って行った。それを見ていると、影がちぢまり小路へまがると、それきり何もない夜目にも一色の白い道路であった。
「お父さん――。」
笏は、声のある方へ振り向いた。背後にその声があった。そうかと思うと前にも、そして空にも、また地ごもるようなところにもあった。どこを向いても、声は、かれにむすびついた。
すたすたと誰かが歩いて行ったが、よく見ると、さきの犬がもとの道を小路から出てきた。どす黒い影だった。笏は、その犬を呼んでみたが、ふりかえりもしないで、やはり寂しい豆ずれを曳いて行った。かれは、間もなく部屋へかえると、れいの、繊い笛をとり出した。そしてそれを静かに吹きならして見た。その笛の音について何かが惹かれてくるような気がしたからである。