Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
」
李一は驚いて四辺を見廻したが、誰も少女らしいものがいないので、どうもガラスの箱の中から話しかけているのだと考えました。箱の中の白いからだをしている魚は、李一の方へ向いて美しい眼をして凝視めているのでした。
李一はそれでなくとも欲しかったので、財布の中から二十銭の銀貨を一枚取り出して、男の手の上に渡しました。
「買いなさるのか?」
「二疋だけ売って下さい。」
李一は小さいガラスの瓶に二疋の人魚を入れて、いまは全く夜になった海岸の町を指して帰ってゆく途で、瓶の中から繊い声がして、
「わたくしはこれで海へもどることができるのでございます。お礼はきっと今にいたします。」
と云う声がしたが、気がつくともう白い魚は瓶の中にいませんでした。唯、海の音がこうこうと鳴っているばかりであった。
李一はその晩、父親からひどく叱られて、麻糸を何故買わなかったかと小言を食ったのでした。
秋の終りころに鰯の漁が初まり、李一も出かけなければならず、みんな沖へ出たのでしたが、鰯というものは、海の中に一かたまりに群れていて、その盛んに群れている時はせり合うた鰯が水面へ跳ね上るくらいで、鴎なぞがそれを捕って食うほどです。