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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme

Aozora Bunko

思うのだったが、そんなことはお構いなしに今度は猛烈な勢いで、鰯の大群はぎらぎら沸き立って、南の方へ、鉛をながし込んだように動いて行きました。その早さは驚くほどの速力でした。そのため水が少しずつ動いて、李一の船までが引かれる程であった。隣村の漁師らの網はすっかり張られ、もう、鰯は網の中へずり込んで行ったのでした。

李一は父親の顔を見ていると、それはまるで死人のように蒼ざめているのでした。その筈です、こんどの船も可成りの借金をして出したのですから――

鰯が隣村の網の目へかかったときに、ふしぎに、先刻から沖の方にいた鴎の大群が一時に鰯の群れを襲ったのです。すると鰯の群れが一と廻りうずを巻いたかと思うと、波がしらを立てて、こんどは反対の東の方へせり上って流れはじめたのです。その早さは先刻の二倍の速力を持っていました。

李一の方の船は二方に分れて、網の用意をしました。父親は真青になって声をかぎりに叫び立てました。

「李一、船をできるだけ分けろ。」

李一の船はずっと分れて鰯のうしろに廻りました。父親は前から押して行ったのでしたが、沖の方の空いた口から鰯が流れるように逃げ出すのでした。