Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
――眠元朗は退窟と倦怠とをなお二重にとり廻したようなこの晩景のなかに、しかもなお索漠たる砂上を踏んで歩いていると、おのれの変り果てた姿をもう一度ふりかえって見て、しかもどうにもならない微笑が浮んでくることを感じた。――眠元朗はいまさらのように四辺を回顧しながら、寂しい風物の間に、貝殻に耳をあてながら聞くような湖鳴りに幾たびとなく耳を欹てた。
「これは何という寂漠とした、しかも動かない風物であろう、――この中に封じ込められているということは、夢でなくて何んであろう。」
しかも眠元朗の感情は、遠い世のそれから引続いたものを持って、絶えず何かにあこがれようとしている。かれのあこがれが何であるかも、そのあこがれに対って妻が絶えずその目をそそいでいることも、あまりに明るすぎるくらい分っている。――一度夢を棄てたかれらにいつの間にか夢は戻ってきて、二人の間になお暗い遠い世のつながりを置いている。いまはそれすらもおたがいに匿そうとしてはいない――まともに受けた光のように、何とこの褐色の寂しい世に二つの心はさびしく対い合っていることであろう? 眠元朗は遠い世にあってはこうまで厳しい人間の心が向きあう息苦しさを感じなかったのに、いまは何というまざまざとしたお互いの心を感じあうことのみに、月日が灰や炭のように消えて行くことで