Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
わしら人間はどんな深山に分け入っても、一度人間として暮したことのあるものは、どこまでも人間を隔れることのできぬものじゃ。それ故、わしはこの山で毎日いろいろの人と一緒にくらしているも同様で、あなたの心配してくれる「寂しいことなぞ」はないといっていいくらいです。あそこの山にしろ凝乎と眺めていると人の顔になる、だからわしはさびしいことなどは少しもないのだ。』
阿闍利さまはそのように気楽な、いかつい御坊振りをなされぬ方でございます。そのためわたくしはどれだけお親懇の程を深くしたか分りません。つねづね在所で説教をおねがいいたしましても、笑ってはこう申されました。
『わしは説教なぞできぬから再度とそういうてくださるな。』
なるほど、そう仰しゃれば、阿闍利さまのお話をおききするよりも悠閑とお笑いになるお顔を見ているだけでも、それだけわたくしだちの心がのびのびいたすのでございます。それからは村の者は誰一人あってお説教をおたのみすることもなくなりました。十五日にはそれにも勝る穏やかなお顔が見られたからでございます。
或る冬の雪のひどい日でございました。わたくしの宅では毎年の餅を搗きましたので、峯の御坊へも持ってまいりました。