Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
わたくし一人の考えでは、何かわるいものに憑かれなされたとしか思えません。それとも、或は山々の何かのつきものとも思えるのでございます。」そういう菊世は、新しく禅師にお茶をついで、しずかに話し出した。
ちょうど春のお斎糧を持って上った時でございます。阿闍利さまは、こんど越中の或る坊の招きで、百日の行にゆかなければならぬ。その間この山を留守をするゆえ、たまに寺を見廻り下さいと申されました。
「阿闍利さまはいつお帰りでございます。一日も早くおかえりなさいまし。」
そうわたくしが申しますと、阿闍利さまはお笑いになり
「此処はわしの死場所のようなところであるから、勤行のすみ次第にかえってまいります。」
そういわれて四月の終りころにお山をお立ちになりました。やっと、あざみの芽が吹いたばかりの、春浅い四方の景色でございました。
「わしのかえるころはもう夏の最中であろう。」
「早くおかえりなされませ。」
わたくしを始め、村里のものはそういってお見送りをいたしました。笈一つを担うて行かれたあとに、瘠せ犬が二疋、つれ立って行きましたが、それも国境で戻って来たと見え、夕方には村に着いておりました。