Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 177.454 Zeichen · 357 Bildschirme
「阿闍利さま。」
わたくしはともあれそう呼びかけて見ました。
阿闍利さまはわたくしの方をふり返られましたが、その眼つきは山樵の申したように人間の眼つきのやさしさを持っていません。ましてこれまでの阿闍利さまの優しさはなかったのでございます。
こちらをお向きになり、
「何じゃ。」
とおいいになりました。
「わたくしでございます。お忘れでございますか?」
しかし阿闍利さまはそんなことは疾くにお忘れになったのでしょう。
「何用で来たか?」
そういって今にも飛びかかるような身がまえをなさいました。その姿は犬や狼のような身がまえでございましたから、わたくしは身をひきながら、こう尋ねてみたのでございます。
「童子はいかがなされたのでございます。」
と。すると阿闍利さまは急に気づいたように立ち上り、大声をあげてお泣きになり、そしてこんどは又わたくしへ先刻と同じい飛びかかる身がまえをせられて、
「童子はお前がつれて行ったのだろう。」
そういって急に飛びかかって来ましたがわたくしは気を失うばかり驚いて小者に背負われて下山いたしたのでございます。
それから今日まで村人は山へは近づこうとはいたしません。