Japanische Klassiker mit Furigana
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となんせんせい
斗南先生
Lesen Sie 斗南先生 (となんせんせい) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.262 Zeichen · 44 Bildschirme
何処のが良い? と聞くと「はしぜん」だという。親戚の一人が急いで新橋まで行って買って来た。が、ほんの小指の先ほど喰べると、もうすぐに吐出してしまった。まる三週間近く、水の他何にも摂れないので、まるで生きながら餓鬼道に堕ちたようなものであった。例の気象で、伯父はそれを、目をつぶってじっと堪えようとするのである。時として、堪えに堪えた気力の隙から、かすかな呻きが洩れる。瞑った眼の周囲に苦しそうな深い皺を寄せ、口を堅く閉じ、じっとしていられずに、大きな枕の中で頭をじりじり動かしている。身体には、もうほんの少しの肉も残されていない。意識が明瞭なので、それだけ苦痛が激しいのである。筋だらけの両の手の指を硬くこわばらせ、その指先で、寝衣の襟から出たこつこつの咽喉骨や胸骨のあたりを小刻みに顫えながら押える。その胸の辺が呼吸と共に力なく上下するのを見ていると、三造にも伯父の肉体の苦痛が蔽いかぶさって来るような気がした。しまいに、伯父は、薬で殺してくれと言出した。医者は、それは出来ないと言った。だが、苦痛を軽くするために、死ぬまで、薬で睡眠状態を持続させて置くことは許されるだろう、と附加えた。