Japanische Klassiker mit Furigana
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となんせんせい
斗南先生
Lesen Sie 斗南先生 (となんせんせい) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.262 Zeichen · 44 Bildschirme
黄色く暮れ残った空に蚊柱の廻る音を聞きながら、三造はその前にしゃがんで手を合わせる。伯父は彼の後に立って、手の土を払いながら、黙ってそれを見ている。
五
伯父はその晩ずっと睡り続けた。次の日の昼頃、ひょいと眼をあけたが、何も認めることが出来ないようであった。空をみつめた眼玉をぐるりと一廻転させると、すぐにまた、瞼を閉じた。そしてそのまま、微かな寝息を立てて、眠り続けた。
その晩八時頃、三造が風呂にはいっていると、すぐ外の廊下を食堂(洗足の伯父の家は半ば洋風になっていた)から、伯父の病室の方へバタバタ四、五人の急ぎ足のスリッパの音が聞えた。彼は「はっ」と思ったが、どうせ睡眠状態のままなのだから、と、そう考えて、身体を洗ってから、廊下へ出た。病室へはいると、昼間の姿勢のままにねている伯父を真中にして、その日、朝からこの家につめかけていた四人の親戚たちやこの家の家族たちが、大方黙って下を向いていた。彼が障子をあけてはいっても誰も振向かない。彼らの環の中にはいって座を占め、伯父の顔を眺めた。かすかな寝息ももう聞えなかった。彼はしばらく見ていた。