Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうりばんとじょちゅうのすがた
料理番と婢の姿
田中 貢太郎
Lesen Sie 料理番と婢の姿 (りょうりばんとじょちゅうのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.439 Zeichen · 3 Bildschirme
彼女は淋しいので急いで取附の便所へ入ろうとしたところで、その入口に二人の者が便所の方を向いて並んで立っていた。彼女はあまりあわてていたので人のいるのも眼に入らなかったのかと思ってきまりがわるかった。彼女はひとりで己の顔の※らんだのを感じながら二人の後に立った。それはひとりは印半纏を着た料理番のような壮い男で、ひとりは銀杏返に結った婢のような女であった。そこには女便所が三つばかりあったが、二人が立っているくらいであるから、無論みなふさがっているのだろうと思った。彼女はしばらく待っていたが、便所の中の人は何人も出て来なかった。彼女はじれったくなったので他の便所へ往こうと思って、一まず二階の室へ引返した。二階の室には客が長火鉢によりかかって煙草を喫んでいた。
「もう往って来たのか」
彼女は不平であった。
「往ったのですけど、たてこんでて、待ってたけれど、前の人がどうしても出て来ないのですもの、痴にしてるわ、まだ他にも料理番のような方と婢さんのような方が待ってるわ」
「なに、料理番のような男と、婢のような女がいた」
「あれ、ここの方」
「そうだろうよ、だが、もういないさ、おれも往くから、いっしょに往こう」