Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だんきょうきぶん

断橋奇聞

田中 貢太郎

Lesen Sie 断橋奇聞 (だんきょうきぶん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.144 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

世高は物好きにどんな庭園であるか、それを見てやろうと思って入って往った。槐と竹とが青々した陰を作った処に池があって、紅白の蓮の花がいちめんに咲いており、その花の匂いがほんのり四辺に漂うているように思われた。世高はその庭の景致がひどく気に入ったので、池の縁に立って佳い気もちになっていた。

「おや、綺麗な方だわ」

若い女のすこしはすっぱに聞える無邪気な声が不意に聞えてきた。世高の眼はすぐ声のしたと思われる方へ往った。池の左、そこにある台の東隣となった緑陰の中に小さな楼が見えて、白い小さな女の顔があった。それは綺麗な眼のさめるような少女であった。

世高は女のほうをじっと見た。そうした少女から己れの容姿を見とめられて、多感な少年がどうして平気でいられよう。彼は吸い寄せられるようにその方へ往きかけたが、ふと考えたことがあったので引返して門の外へ出た。それはその少女の素性を訊くがためであった。

花粉や花簪児を売っている化粧品店がそのちかくにあった。そこには一人の老婆がいて店頭に腰をかけていた。世高はそこへ入って往った。

「すみませんが、すこし休ましてくれませんか」