Japanische Klassiker mit Furigana
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しんまんようものがたり
新万葉物語
伊藤 左千夫
Lesen Sie 新万葉物語 (しんまんようものがたり) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.832 Zeichen · 10 Bildschirme
「そらあ、えかった。そりじゃお祖母さん薬は、後にしようかねい」
お小夜はちょっと納戸に母を窺ったが、その睡ってるに安心したふうでしばらく炬燵に倚りかかった。頭巾を脱ぐ拍子に巻髪が崩れた。ゆらぐばかりの髪の毛が両肩にかかってる。少し汗ばんでほてりを持ったお小夜の顔には、この煤けた家に不似合なような、活き活きとした光をつつんでいる。祖母もつくづくと孫の横顔を見て、この娘は、きっと仕合せがえいだろうと考えた。
炬燵に掛けた蒲団には、ずいぶん垢もついてる。継も幾箇所となくかかってる。畳は十年前に裏返しをしたというままのものである。天井は形ばかりに張ってはあるが、継目の判らぬくらい煤が黒い。仏壇とて何一つ装飾はない。燈盍、香炉、花入いずれも間に合うばかりの物である。そこらに脱いである衣服の類にも、唐縮緬以上の物は一つもない。台所はと見ると、たて切った雨戸の隙から、強い夕日の光が漏れ込んでただガランとしている。苦労に苦労を重ねて、疲れ切ったような祖母の顔、垢づいた白髪頭に穴のあいた手拭を巻きつけている。この微塵骨灰の中に珊瑚の玉かなんかが落ちてるように、お小夜は光ってる。