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Japanische Klassiker mit Furigana

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にいづまのしゅき

新妻の手記

豊島 与志雄

Lesen Sie 新妻の手記 (にいづまのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.807 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

翌日の晩、だいぶ遅く、吉川は酒に酔って帰って来た。珍らしく不機嫌で心平らかでない様子だった。

「駒込の家に行って来ましたよ。」

母にそう言ったきり、洋服のまま炬燵にもぐり込んで、口を噤んでしまった。暫くして顔を挙げ、私に言った。

「紅茶をいれて下さい。」

その丁寧な語調によって、吉川が私にまで怒ってることが分った。私は腑に落ちなかった。母も不審そうな面持ちをしていた。私は母にもし会社を早めに切り上げられたら、吉川は駒込へ廻るかも知れないと、前以て伝えておいた。何でもなく済むものだと、私は思っていたし、母もそう思っていたらしい。吉川の様子は意外だった。

私は紅茶を三人分いれた。吉川は来客用のウイスキーを求めて、紅茶にどくどくと注いだ。それも珍らしいことだった。

「どうかしたんですか」と母が尋ねた。

「どうもこうもありません。伯父さんに怒られちゃった。こちら三人とも、物識らずの分らずやだと、さんざんやっつけられちゃった。」

「いったい、それは、なんのことですか。」

「政子さんの、お産の入院中の、あの留守居のことです。」

吉川は酒の香の強い紅茶を飲み干して、更にも一杯求めた。