Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
程なく、隼人佑はそれへ来て、静かに座をしめ、さて、
「承ろう」
と、野村を正視した。横明りのせいか、勝次郎の面は、蒼白く見えた。
「明朝、あなた様をお主客として、山路将監の神明山の陣小屋で、朝茶の会があるはずですが。……将監からお手許へ、その招きが参ってはおりませぬか」
勝次郎の眼にはつきつめた感情が燃えていた。深夜の無気味な静寂は語気の微かなふるえまでを伝える。――隼人佑も宇右衛門も、何かただならぬ気持を抱かせられた。
「参っておる。たしかに、将監から招きが参っておる」
隼人佑は簡明に答えてやった。疑わない態度を見せて、この正直者らしい人間のいおうとする懸命な気持を扶けてやるように耳傾けた。
「――ではすでに、それへお出向きなさることに、お約束なさいましたか」
「されば、折角の招き、明朝参じようと、使いにいうて帰したが」
「いつ頃のことで?」
「きょうの午頃であったかの」
「さてこそ、急に思いついた計とみえまする」
「計とは?」
「――決して、明朝はお出向きなされてはなりませぬ。朝茶をさしあげたいとは大嘘でございます。将監の本心は、あなた様を茶室に封じて、刺し殺さんと、手に唾して、待ちうけておるものにござります」