Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
ネ……新六」
「え。いらっしゃいますとも」
とつこうつ――ようやく、秀吉の陣所のある松原のほとりまで来た。
秀吉は、帷幕を出て、松の下に佇んでいた。
――近づくのを、見ていたものとみえる。
「お伴い致しました」
送って来た秀政の家臣が、城中から渡された経緯のあらましを報告する。秀吉は、受け取った、と答え、すぐ姫たちのそばへ歩み寄った。
「……よう似ておらるる」
彼が胸にえがいて写した鏡は、信長の面影か、お市の方の姿か、ともかくそう呟いて、
「よい御子な」
と、頻りに見惚れていた。
茶々は、淡紅梅の袂に、鉢の木帯の房を、優雅に結び垂れていた。中の姫は、刺繍の大模様の袖に、臙脂の帯。末の姫も劣らぬ粧いに、それぞれ小さな金の鈴に、伽羅の匂い袋も提げていた。
「お幾つじゃの?」
秀吉が問うたが、三人とも答えない。むしろ、唇を白うして、触るれば、露とばかり、涙をこぼしそうだった。
「ははは」
意味もなく、笑って見せ、
「姫たち、怖がることはない。これからは、この筑前と遊ぼうぞ」
秀吉は、自分の鼻を指した。
初めて、中の姫が、すこし笑った。彼女だけが、猿を聯想したのかも知れない。