Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
その帰るに際しても、秀吉は京都まで同道して、みずから途中の世話を見、大津までは加藤光泰、片桐助作などに護らせた。また特別仕立の湖船に医者をも添えて、長浜まで送らせた。
勝豊は、秀吉の温情の翼に抱かれて、恍惚となるほどだった。親身、真情というものを、初めて知った。――それは、彼の心に渇きぬいていたものだった。
彼は自分こそ、北陸の大柴田の一族中でも第一に坐るべき地位にあったが、事実は、常に孤独の中におかれていた。勝家にも忌まれ、一族にも冷眼視されていた。従って、今日までは、彼が彼を反省してみてさえ、どこやらにひがみ者の蔭がないとは云い切れない思いがしていた。
それが、秀吉に接してからは、恥かしくもなり、また本然の自己に立ち返ろうとする意志ともなっていた。肉体の元気を取り戻したばかりでなく、こんどのことは、心の病にも秀吉の投薬をうけて、何やら胸の明るさを持ち帰っているような気がしていた。
「風の興るところ人あり、人の興るところ上にありというが、まこと羽柴家のうちには、何ともいえぬ居心地のよいものがある。日蔭がない。違和がない。蔭口を聞かぬ。そしてその底に、草萌え頃の地熱にも似た誓いがどの顔にも燃えている。