Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
下坐の民
物にして心。心にして物。それがこの国のふしぎな伝承であった。
だから、物と心が別離されたり、逆作用を起すような仕方は、武門も百姓も、戒めていたところである。秀吉の母も、それを間違えまいとしていたに過ぎない。
下坐の民
「御城主がお還りなされる」
「筑前守様の御帰国というぞ」
「お着きは夜半頃になろうとある」
不時の篝と、城中の者から、これは忽ち城下にも知れ、口々に伝えられて、どよめき渡るものがあった。
元日の夕方は、毎年、町屋は早く大戸を卸し、いずこの家も、大晦日のつかれを見せて、宵にはもう真っ暗に寝しずまるのが例だった。――が、天正十一年の姫路城下は、その例をやぶって、宵から万戸、戸をひらいて、道を掃き、かがりを焚き、或いは金屏に花を添え、軒に香を焚いて気を浄めなどする者もあって、見廻りにあるいた騎馬の城士が、
「それには及ばん」
と、制しても、また、
「御到着は、夜半か、或いは、それより遅くおなり遊ばすやもしれぬゆえ、お迎えには及ばぬぞ。わけて寒天凍地、城下の者に風邪ひかすなと、御母堂様のおことばでもある。――みな戸をとざして、眠るがよい」
と諭して廻っても、眠るどころか戸をたてて引っこむ者もないのである。