Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme

Aozora Bunko

誰にはある。彼にはない。そんなものじゃない。自身気づかぬ凡愚でも持っている。この国に生れた者の生れ性。それだけは確かじゃよ。――何といおうそれを。神といってもよい。仏と名づけてもよい。――とまれ、無限の霊の泉、民にある心底の井戸。――政といい、戦といい、秀吉はただその釣瓶よ。上と下とを、くるくる通っておるに過ぎぬ」

「それが汲みかねる。われには汲みかねる」

「いや、汲もうとせぬのであろ。――井をのぞいて、水のうわべのみを見、これは濁り井じゃ、これは涸れ井じゃなどと、だいじゅう(大衆)を粗相に見て、釣瓶の仕替えや、井を罵ることばかりを能としておらなかったか――底の底の清水がこんこんと湧き出づるまで真を尽しぬいてみたか」

「…………」

「総じて、諸州の国守もその手代どもも、領下の民といえばなおさら、天が下のだいしゅを見るに、大衆といえば低きもの、智なきもの、いかようにもなるものとなしおるが、秀吉には心得難きことに思う」

「では、御殿の眼には」

「大衆は大知識じゃよ。秀吉とて偽れぬ。手くだではままにもならぬ。それを動かし、死生も苦楽も共にさせんには、ただただ真と誠を示して、それと一者になるしかないわさ」