Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
「わたくしも独りで大丈夫でございます」藤尾も微笑しながら云った。
「そうですか、ではだいぶ日数が経っていますから、乗物を継いでいって下さい、べつに云うことはありません、お聞きのとおりを伝えて下されば結構です、こちらは予定通りに事をはこんでいますからと」
「わかりました、必ずお伝え申します」
「ではいちど帰って、道中切手を作ってもういちど来ます」通助はそう云って立った、「その旗を頂いてまいりましょう」片付けてあった三当旗の包を取った。
寒笑はまだ固くなって、自分の膝をみつめたきり石のようにじっとしていた。通助はそのありさまをちらっと見た。
「おい寒笑、おまえこれで二度命びろいをしたな、おまえの知恵ではこんな仕事は無理だということがわかったろう、だが馬鹿は痛さが身にしみないものだ、おれがいなくなったら、滝川のところへ藤尾どのの出立を内通にゆくかも知れん」
「いえ、け、決して」
「いってもいいよ、ただそれが三度めだということだけは覚えておくんだ」
通助は大剣の鍔をぱちっと鳴らした、そして首を竦めた寒笑には眼もくれず、大股にそこを出ていった。
その日の暮れ方に、柳通助が道中切手を届けて来た。