Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme

Aozora Bunko

……二人の去ったほうを見やったが、もう提灯の光りはみえなかった。雨はずっと小降りになっている。それもぱらぱらと来ては遠のく感じで、空もどうにか明るんでゆくように思えた。

秀之進は夜の明けるまでそこにいた。未明の頃には雨はすっかりあがって、肌寒いほどの風とともに爽やかな朝を迎えた。このあいだに農家の人夫の往来はあったが、待っている相手の姿はみえない。かれらはまだ三人の出立に気づいていないとみえる。しかしくい止めるには此処が屈竟だと思うので、秀之進は辛抱づよくそこで待つことにした。それで日の出少しまえにかれは清水の流れるところへいって握り飯を喰べた。

午前十時と思える頃、新島八十吉の急いで来るのがみえた。秀之進は脱いで干してあった合羽と、両掛けの荷とをひとつに纒め、傍の松の根本へ置いて立ちあがった。……八十吉は大股に急いで来る。秀之進は小高い処に立っていたが、伸びあがって道の彼方を見た。探索の人々が来はしないかと思って……、だが宿をぬけてまっすぐに延びている道の上には、土地の者がばらばらと四五人みえるだけで、武家らしい者の姿はどこにもみあたらなかった。