Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme

Aozora Bunko

娘は微笑しながら大助を見てかぶりを振った。いかにも済まなそうな、赦しを乞うような表情である、「ほしくないですか、なかなか美味いですがね、若鶏であっさりしているし、柔らかで」

大助は誘うように舌鼓をうってみせた。藤尾は男の温かい気遣いがよくわかるのだろう、弱々しいなかにも心がゆたかになってゆく微笑みをうかべていた。

秀之進と別れてから十日しか経っていないが、その十日のあいだに多くの出来事があった。……大助が岩屋へ戻った日の夜、かの女の兄は病状が急変して死んだ。大助はその屍を背負って須走口へ下り、山麓の若葉の森のなかで荼毘にした。それは深夜のことだったが、はて知れぬ森の奥で、荼毘の火を前に、娘とただ二人ひっそりと夜を明かした経験は、大助にとって忘れることのできない異常な印象だった。娘は身も心も憔悴していた。射止めるようなはげしい双眸の光りが示すように、極端に世間と人を疑い惧れていたが、それさえ暫くは忘れはてた様子だった。

大助はしんそこから同情に駆られていた。どうかして娘を明るい元気な姿にしてやりたい、今までの生活が悲しいものだったら、これからは楽しい、甲斐ある生活へはいれるようにしてやりたい、そう思った。