Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
できない、おまえの今していることは、その娘のためというより自分の虚栄心を満足させたいだけのことだ、おまえの親切はいつもそうではないか。
まるでそこに秀之進がいて、かれの口から云われるようにはっきりとそういう言葉が感じられた。尤もそれは今はじめてのことではなく、大助がなにかしら他人のために尽そうとする場合、きまって(そこに秀之進がいるといないに不拘)感ずる反省ではあったが。
寝に立とうとしたとき、ふと藤尾が眼をあげて云った。
「あの、お伴れの早水さまと仰しゃるお方はどういう方でございますか」
「早水ですか」大助はちょっと答えに困った、「そうですね、秀之進は、どういったらいいでしょう、かなり特異な性格の男で、人物はずばぬけているんですが、ちょっとこういう男だと説明しにくいですね」
「わたくし、今でも……」と藤尾はしばらく間をおいて云った、「今でもあの方のお眼が忘れられませんの、あのとき、兄が刀を抜いてつきつけたとき、あの方がじっと兄のほうをごらんになった、しずかな、冷やかなお眼でございました、わたくし正直に申しますとあの方を憎みました」
「……憎んだんですって」