Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
――自分は善しと信ずる道をあるいている、こうすることが自分には正しいのだ。
そういう確信はもっていたけれども、兄と弟という肉親の情は別である、弟として兄を思うとき、頼胤はいいようのない苦しさに胸をしめつけられないためしはないのだ。
「だが、それはそれとして」頼胤はふとそう呟いた、「兄上が水戸へ密使を遣わされたのはどういうお心であろうか、いましばらくはなにもして頂きたくない、さもないと水戸家の内争にまきこまれる、兄上は兄上だけの御生活をしていて下さればよいのに」
それでなくとも近頃また老臣たちの眼が兄の身辺に険しくなりだしている。月に一回ずつ高松から来る上申書には、必ず左近頼該についての不評が記されている。その上に水戸家となにか関わりをもつようなことになれば、又しても兄の身に不幸を及ぼす結果となろう。
「使者をやってはならなかった」
そう呟くと共に、頼胤は滝川内膳がその使者に対してなにごとか手配をしたらしいようすだったのを思いだした。
――滝川は兄の使者を斬らせるつもりだ、それは思いすごしではないようだ、そしてそれが実現した場合、兄と自分との関係はどうなるであろう、いや兄と自分のみにとどまればよい、それが水戸と高松、ひいてはもっと大きな問題にも発展する惧れがある。