Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
泊るところも、たよる男も、御飯を食べるところもないとしたら、……私は小さな風呂敷包みをこしらえながら、どこにも行き場のない気持ちであった。そう云って別れてしまった男なのに、「お前が便利なように云ってやったんだよ、俺から離れいいようにね。」男は私を抱き伏せると、お前も俺と同じような病気にしてやるのだ。そう云って、肺の息をフウフウ私の顔に吐きかけてくる。あの夜以来、私は男の下宿代をかせぐために、こんなところへまで流れて来たのです。
「国へかえってみましょう、少し位は出来るかも知れませんから……」
こんなことをして金をこしらえる事を私は貞女だとでも思っているのでしょうか神様!
「もう店をしまって下さい。」
マダム・ロアの鼻の頭が油で光っている。ここは十二時にはカンバンにするのであるらしい。桃割れに結ったお菊さんと、お君さんと私、バラックの女給部屋には、重い潮風が窓から吹きこんでくる。
「ね、東京にかえりたくなったわ。」
お君さんは子供の事を思い出したのか、手拭で顔をふきながら、大きい束髪に風を入れていた。――ここのマダム・ロアは、独逸人で、御亭主は東京に独逸ビールのオフィスを持っている人だった。