Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
(二月×日)
朝六枚ばかりの短篇を書きあげる。この六枚ばかりのものを持って、雑誌社をまわることは憂鬱になって来た。十子は食パンを一斤買って来てくれる。古新聞を焚いて茶をわかしていると、暗澹とした気持ちになってきて、一切合切が、うたかたの泡より儚なく、めんどくさく思えて来る。
「私、つくづく家でも持って落ちつきたくなったのよ、風呂敷一ツさげて、あっちこっち、カフエーやバーをめがけて歩くのは心細くなって来たの……」
「私、家なんかちっとも持ちたくなんぞならないわ。このまま煙のように呆っと消えられるものなら、その方がずっといい。」
「つまらないわね。」
「いっそ、世界中の人間が、一日に二時間だけ働くようになればいいとおもうわ、あとは野や山に裸で踊れるじゃないの、生活とは? なんて、めんどくさい事考えなくてもいいのにね。」
階下より部屋代をさいそくされる。カフエー時代に、私に安ものの、ヴァニティケースをくれた男があったけれど、あの男にでも金をかりようかしらと思う。
「あああの人? あの人ならいいわ、ゆみちゃんに参っていたんだから……」
ハガキを出してみる、神様! こんな事が悪い事だとお叱り下さいますな。