Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
――八銭也――体中の汚れた息を吐き出しながら、まるで尾を振る犬みたいな女だったと、私は私を大声あげて嘲笑ってやりたかった。帰ったら部屋の火鉢に、切り炭が弾けていて、カレーの匂いがぐつぐつ泡をふいていた。見知らない赤いメリンスの風呂敷包みが部屋の隅に転がっていて、新らしい蛇の目の傘がしっとりと濡れたまま縁側に立てかけてあった。隣室では又今夜も秋刀魚だ。十ちゃんの羽織を壁にかけていると、十ちゃんが笑いながら梯子段を上って来て、「お芳ちゃんがたずねて来てね、二人でいま風呂へ行ったのよ。」と云った。皆カフエーの友達である。この女はどこか、英百合子に似ていて、肌の美しい女だった。「十ちゃんも出てしまうし、面白くないから出て来ちゃったわ、二日程泊めて下さいね。」まるで綿でも詰っているかの様に大きな髷なしの髪をセルロイドの櫛でときつけながら、「女ばかりもいいものね……時ちゃんにこの間逢ってよ。どうも思わしくないから、又カフエーへ逆もどりしようかって云ってたわ。」お芳さんが米も煮えているカレーも買ってくれたんだと云って、十子がかいがいしく茶ブ台に茶碗をそろえていた。