Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
(三月×日)
五色のテープがヒラヒラ舞っていた。
どこかで爆竹の弾ける音がすさまじく耳のそばでしている。飛行機かしら、モータボートかしら……私の錯覚から、白い泡を飛ばしている海の風景が空の上に見えてきました。銀色の燈台が限の底に胡麻粒程に見えたかと思うと、こんどはまるで象の腹のようなものが眼の中じゅうに拡がって、私はずしんずしん地の底に体をゆりさげられているようだった。十子が私の裸の胸に手拭を当ててくれている。私はどうしても死にたくないと思った。眼をあけると、瞼に弾力がなくて、扇子をたたむようにくぼんで行く。私は死にたくない……。「若布とかまぼこのてんぷらと、お金が五円きていますよ。」私は瞼を締める事が出来なかった。耳の中へゴブゴブ熱い涙がはいって行く。枕元で、鋏をつかいながら十子が、母さんのところから送って来た小包をあけてくれた。お母さんが五円送ってくれるなんて、よっぽどの事だと思う。階下の叔母さんがかゆをたいて持って来てくれた。気持ちがよくなったら、この五円を階下へあげて、下谷の家を出ようと思う。
「洗濯屋の二階だけれどいいところよ、引越さない?」