Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

涙がまるで馬鹿のように流れている。信ずる者よ来れ主のみもと……遠くで救世軍の楽隊が聞えていた。何が信ずるものでござんすかだ。自分の事が信じられなくてたとえイエスであろうと、お釈迦さまであろうと、貧しい者は信ずるヨユウなんかないのだ。宗教なんて何だろう! 食う事にも困らないものだから、あの人達は街にジンタまで流している。信ずる者よ来れか……。あんな陰気な歌なんか真平だ。まだ気のきいた春の唄があるなり。いっそ、銀座あたりの美しい街で、こなごなに血へどを吐いて、華族さんの自動車にでもしかれてしまいたいと思う。いとしいお母さん、今、貴女は戸塚、藤沢あたりですか、三等車の隅っこで何を考えています。どの辺を通っています……。三十五円が続くといいな。お濠には、帝劇の灯がキラキラしていた。私は汽車の走っている線路のけしきを空想していた。何もかも何もかもあたりはじっとしている。天下タイヘイで御座候だ。

*

(十一月×日)

浮世離れて奥山ずまい、こんなヒゾクな唄にかこまれて、私は毎日玩具のセルロイドの色塗りに通っている。日給は七十五銭也の女工さんになって今日で四カ月、私が色塗りをした蝶々のお垂げ止めは、懐かしいスヴニールとなって、今頃はどこへ散乱して行っていることだろう――。