Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
濁った水を走る、小さい魚の眼にも、澄んだ真夏の空が光っている。およそ、模範的だなぞと云う人間ぐらい厭なものはない。歩いている人間がみんなそうだ。二本の足をかわりばんこに動かして、まるで、目の前に希望がぶらさがっているような、あくせくした行進だ。
この世の中にどんな模範があるのだろう。人いじめで、いやらしくて、大嘘つきで、自分ばかりをおたかく考えている人間。口に人類だの人道主義だなぞと云って、あのメダカ女史をうまいことだましたに違いない。その恋人は一生足袋をはいて暮さなければ格が落ちるとでも教育されたのに違いない。
女には反抗する姿勢がないのだ。すぐ、じめじめと泣き出す。
夜、上野の鈴本へ英子さんと行く。
猫八の物真似、雷門助六のじげむの話面白し。ああすまじきものは宮づかえ、千駄木へ戻って、井戸で水を浴びる。
物干に出て涼んでいると、星が馬鹿に綺麗だ。地虫が啼いている。蚊が唸っている。夜更けまで、何処かで木魚を叩くような音がしている。長い月日を西片町で暮していたような気がする。英子さんは、二三日して大阪へ戻る由なり。その後のことはまた考えればいいのだ。