Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
宮様とはいったい何者なのか私達は知らない。何も知らないけれども尊敬しなければならないのだ。昼頃から、線路の上を巡査が二人みまわっている。
障子を閉めて、はだかで、チエホフの退屈な話を読む。あまり暑いので、梯子段の板張りに寝転んで本を読む。風琴と魚の町、ふっとこんな尾道の物語りを書いてみたくなる。
母は掃除を済ませて、白い風呂敷包みの大きい荷物を背負って商売に出掛ける。
階下のおばさんが、辛子のはいったところてんを一杯ごちそうしてくれる。そろそろ、宮さんがお通りじゃンすでエ……近所の女衆が叫んでいる。
轟々と地ひびきをたててお召列車が通る。障子の破れからのぞくと、窓さきの堤の上に巡査が列車に最敬礼をしている。巡査の肩に大きいトンボがとまっている。羽根が白く透けてふるえている。汽車の窓の中に白いカヴァがちらちらして、赧い顔の男が本を読んでいたのがすっと過ぎ去る。
真実な一つのフイルムが、線路をすっとかき消えて行く。巡査が頭を挙げる。すばやく障子の破れから私は頭を引っこめる。
忍耐づよい貧民。力が抜ける。それきりの為に、また固く障子を閉めておく。負担になってもにこにこ笑って土下座している。