Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
幻影だけでまとまりをつけようとするプロット。暑いせいかも知れない。たらふく食わないせいかも知れない。頭の上にさしせまった思いがあるせいかも知れない。風琴と魚の町と云うタイトルだけのものだ。生活の疲労に圧倒されて、かえって幻影だけがもやもやと眼の先をかすめるプロット。
どうして、いつまでも、こんな暮しなのかと思う。母はエンピツをなめながら帳面をつけている。別に大した金高でもないのに、帳面をつけているかっこうは大真面目なもの。粘土に足をとられて、身動きもならぬ暮しだ。――別れなさいよ。うん、別れようかのう。別れなさいよ。そして、二人で東京へ行って、二人で働けば、毎日飯が食べられる。飯を食う事も大切じゃが、義父さんを捨ててゆくわけにもゆくまい。別れなさいよ。もう、いい年をして、男なぞはいらないでしょう……。お前は小説を書いておってむごかこつ云う女子じゃのう……。私は、黙ってしまう。心配も愉しみの一つで、今日まで連れ添って来た母と義父とのつながりを自分にあてはめて考えてみる。母は倖せな人なのだ。
一生懸命、ノートに私ははかない事を書きつけている。もう、誰も頼りにはならぬのだ。