Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
輸出の残りなンですよ」
「ねえさんは、美味そうにふとってるな。旦那もちかい?」
私は心のうちでえっへ、と笑う。何持ちなんだか、さっぱり自分で自分の生態がわからないですとね。上下三円五十銭を五十銭もまけさせられて、三組売る。一寸、神様に感謝する。犬も歩けば棒にあたるだ。また荷を背負って町角を曲る。お母さんは影もかたちも見えぬ。どうせ大宮の駅で逢えばいいのだ。
大宮は少しも面白くない町なり。
東京へ戻ったのが七時頃。雨が降っていた。
ざんざ降りのなかを金魚のようにゆられて川添いに戻る。今日は十五日。豆ローソクのお光りをあげる。蛙が啼いている。炭がないので、近所の炭屋で一山二十銭の炭を買って来て飯を焚く。隣りの駄菓子屋の二階の学生が大正琴をかきならしている。何処からともなく蕎麦のだしを煮出している匂いがする。胃袋がぶるぶる顫えて仕方がない。この世の中に奇蹟はないのだ。皇族に生れて来なかったのが身のあやまり……。私は総理大臣にラブレターを出してみようかと思う。夜、ゴオゴリの鼻を読む。鼻が外套を着てさすらってゆく。そして、しょうことなく、だらしなく読者に媚を呈して、嘘をとりまぜた考えが虚空に消えてゆく。