Japanische Klassiker mit Furigana
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しんさいゆうき
新西遊記
久生 十蘭
Lesen Sie 新西遊記 (しんさいゆうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.654 Zeichen · 52 Bildschirme
家を破滅させる機因をつくったといわれている。
「ゆくてにはやさしいなだらかな小山があるばかりであった。褐色の平原がゆるく波をうちながら茫々とひろがっている。大気は完全な均衡をたもち、人の気配はさらにない。締めつけるような沈黙のなかで、自然が魔法にかかったように四季のめぐりをとめている。人間と季節に見捨てられた異様な眺望であった。
山のむこうにはまた空漠たる曠原が待ちうけているのだろう。それはもう十分に予期されることであった。かすかに残っている野馬の踏附け道をたどりながら頂きまでのぼりつめると、なんの前触れもなく、いきなり眼の下に現出した壮大な景観に思わず声をのんで立ちすくんだ。
曠原のファンタジア――その蜃気楼を一瞥したときのおどろきを、どう言いあらわしていいかわからない。そのときほど強く心霊をゆすぶられた経験は、かつて一度もなかった。
はるばるとひろがった平野のまなか、突兀たる岩山を背にした雪のように輝く白堊の大宮殿と仏殿と僧院の大群落が、乾燥した空気の作用で、無類の鮮かさでクッキリと浮きあがっている。岩山の頂きには古代契丹の放胆な規模を思わせる仏殿があり、無垢の黄金と黄瓷を載せた天蓋が、青銅の緑と大斗の朱と照応して虹のような美しい光を空に放っている。